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北海道のワーケーション事情

投稿日|2023年2月4日 (更新日:2023年11月8日)

働き方の多様化により昨今注目されている「ワーケーション」。
定義や過ごし方のポイントのほか、北海道で行われている「グリーンワーケーション」について紹介します。

1.ワーケーションとは?

 2020年に新型コロナウイルスが流行して以降、「オフィスの在り方」や「社員の働き方」について考えさせられる機会が多くありました。在宅勤務・テレワーク・リモートワーク・シェアオフィス(レンタルオフィスやコワーキングオフィス)といった、これまで中々耳にすることがなかった言葉が現代ではよく使われています。
 今までは「 会社 = 社員全員がオフィスに出社して働く 」という認識が当たり前の世の中でした。しかし、コロナ禍による働き方改革によって出社スタイルが多様化したことにより、「オフィスの在り方」や「社員の働き方」を見直す企業が急増しました。このような社会情勢の変化をきっかけに、今までの日本ではほとんど馴染みのなかった「ワーケーション」という新たな勤務スタイルに近年注目が集まっています。

▼「ワーケーション」の定義
 仕事(work)と余暇(vacation)を組み合わせた造語。
 観光地やリゾート地など、普段の職場とは離れた場所でリモートワークを行うことで
 働きながらも休暇時間を充実させる勤務スタイルのこと。
 

 元々ワーケーションは、ネット環境が普及し始めた2000年代にアメリカで発祥した働き方です。アメリカやヨーロッパではコロナ禍以前から、ワーケーションやテレワークといった柔軟性の高い働き方が推奨されていました。海外と比較するとまだまだワーケーションの浸透率が低い日本ですが、このコロナ禍をきっかけとして、政府はワーケーション推進事業に力を入れ始めました。内閣府や観光庁が「新たな旅のスタイル」と称して大々的にワーケーションのPR活動を行い、全国の地方自治体と協力をしながら普及活動を行っています。

 

デスクと海の風景

 

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2.ワーケーションの種類

ワーケーションは「目的」によって、下記2種類に大別されます。

▶ 休暇型ワーケーション

観光地やリゾート地で休暇をメインに楽しみ、休暇の合間にリモートワークを取り入れるスタイル。
場合によっては有給休暇を併用し、1週間~1ヶ月の長期滞在を行う事例も多い。
福利厚生の一環として採用している企業が多い。

 

 (事例1)
  自身が希望する観光地を訪れ、日中はアクティビティを存分に楽しむ。
  早朝や夜など、観光の隙間時間を利用してリモートワークを行う。
  リモートワークは、観光先のレンタルオフィスやシェアオフィスを短期レンタルして行う。

  休暇型ワーケーション

 (事例2)
  1ヶ月のうち月曜~水曜をリモートワーク日、木曜~金曜を有給休暇とする。
  毎週、木曜~日曜までの4日間を休暇に充てられる。
  リモートワークは、観光先のレンタルオフィスやシェアオフィスを短期レンタルして行う。

  休暇型ワーケーション2

 

 日本には有給取得率の低さが課題となっている企業が多くありますが、ワーケーションと有給休暇を組み合わせることによって、有給取得率アップが期待できます。また、休暇型ワーケーションを企業側が積極的に推奨することで、長期休暇の取得に対する罪悪感や抵抗感を減らすことができます。この結果、社員のワークライフバランス向上が期待できます。

 

▶ 業務型ワーケーション

社内のチーム全員が観光地やリゾート地でリモートワークを行い、業務時間外に休暇を楽しむスタイル。
アイディア発見やチームワーク強化を目的として、出張扱いとして採用している企業が多い。

 

 (事例1)
  チーム全員で同じ観光地を訪れ、普段のオフィスとは異なる新鮮な環境で会議や業務を行う。
  業務時間外は、各々好きなアクティビティを家族や友人と楽しむ。

  業務型ワーケーション

 (事例2)
  チーム全員で同じ観光地を訪れ、レンタルオフィスやシェアオフィスで地域住民と交流を行う。
  地域住民が抱えている課題を聞き出し、チーム全員で話し合いを行い解決策を見出す。
  業務時間外は、各々好きなアクティビティを家族や友人と楽しむ。

  業務型ワーケーション2

 

 普段のオフィスとは異なる環境で課題に取り組むことで、チーム力向上や社員一人一人の創造力強化を期待できます。地域住民の課題は、まだ世に出回っていない新たなニーズである場合も多いため、新規事業の発掘に繋がるメリットもあります。

 

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3. 有意義な過ごし方

 ワーケーションは期間が限定的であるため、” 現地でいかに有意義な過ごし方をするか ” が重要です。ワーケーション初心者でも実践しやすい下記3点のポイントを抑えた上でワーケーションに臨むことをお勧めします。

 

ポイント

 

■ポイント① 「自分のwant」にフォーカスをあてる

 仕事や時間の概念はいったん置いておき、「自分が心底行ってみたい場所はどこか」「そこで、どのような体験をしたいのか」を第一に考えましょう。たとえば「自分は海が好きだから、窓から海を見渡せる別荘をレンタルしてみる」「サーフボードをレンタルし、長年の憧れであったサーフィンを体験してみる」など、自身が持っている“ want “をワーケーションに組み込むことをお勧めします。
 初心者であると特に、”ワーケーション中は仕事を最優先しなければいけない”と多くの方が思ってしまいがちです。しかし、自分が心底「やってみたい!」と感じている体験であればあるほど情報を吸収するモチベーションを高く維持できるため、多くの気付きや成長を得ることができます。このような心がワクワクするような体験は脳を活性化させるため、たとえ仕事には全く関係がない体験であっても、日常のオフィスワークでは思い付かないような奇抜なアイディアを発想するきっかけとなります。

■ポイント② 能動的に取り組むことを意識する

 企業や自治体によって滞在スケジュールが既に決められているワーケーションで陥りやすい例ですが、「普段のオフィスを離れ、ワーケーションに行くだけで何かを得られる」と勘違いしてしまうことがよくあります。しかし、与えられた過ごし方をするだけでは、自身の人生観や心が大きく動くような体験は得られません。そのため、ワーケーション滞在中は「地域の人々に自分から話しかけてみる」「自転車をレンタルして気の向くままに走ってみる」「興味のあるセミナーやイベントに参加してみる」などの能動的な行動を心掛けましょう。意識して自発的に行動することで、偶発的な出会いや気付きが得られる可能性がより一層高まります。

■ポイント③ スケジュールに余白時間をつくる

 観光先へ行くと、ついつい「あれもしたい、これもしたい」と予定をぎっしり詰め込んでしまいがちになります。しかしあまりにもハードなスケジュールを組んでしまうと「観光の疲労で仕事が手につかない」「時間に縛られ、新たな気付きを発見する余裕がない」といった残念なワーケーション体験となってしまいます。あえて予定を入れない ”余白時間” をつくると、自然と心にゆとりができ、ワーケーションならではの非日常空間を存分に堪能できます。

4. グリーンワーケーションとは?

 日本では現在、自治体の規模や知名度に関係なく、全国各地でワーケーションのツアーが開催されています。中でも最近は、各自治体の地域性や文化を活かした「その場所ならではのワーケーション」が注目されています。たとえば北海道では、広大な土地や大自然をワーケーションに活用した「グリーンワーケーション」が推奨されています。

▼「グリーンワーケーション」の定義
 大自然の中で仕事を行い、森林浴や自然に触れる体験を通して余暇を楽しむワーケーション。
 植樹体験や森林散策など、広大な森林を有する北海道だからこそ出来るツアーが人気。
 森林には「リラックス効果」「不安を和らげ、活力を増加させる効果」があることが
 医学的に解明されており、業務効率の向上や社員の健康増進を期待できます。

5. グリーンワーケーションの事例

▶ 津別町(北海道網走郡)

森林

 道東エリアに位置する津別町は、町面積の8割以上を森林が占めています。町内には「ノンノの森」と呼ばれる自然豊かな森が存在し、森林浴による癒し効果・病気予防効果が科学的に認められている場所として有名です。森の散策ツアー・清流さんぽ・星空観察など、自然豊かな環境ならではの体験イベントが季節関係なく開催されています。津別町は、グリーンワーケーションにおすすめの町として北海道の公式ガイドブックに掲載されています。

 町内には空き家を有効活用したコワーキングオフィス「JIMBA(ジンバ)」があります。利用料金は2時間あたり500円と手頃で、ワーケーションのリモートワーク場所として利用することも可能です。コワーキングオフィス内には、テレビモニターや配信機材が装備されており、無料でレンタルできます。そのほか有料ではありますが、「GO PRO」などの高価なカメラをレンタルすることも可能です。空き家の2階部分には最大20名を収容できるスペースがあり、2階フロア全体をレンタルすることも可能です。津別町の住民も利用するコワーキングオフィスであるため、異業種交流による新たな出会いや新規事業の開拓が期待できます。

 

▶ 富良野市(北海道)

ラベンダー畑

 道内の人気観光スポットとして知られる富良野市では、観光名所を生かしたワーケーションが行われています。富良野市は雄大な山々に囲まれた地形であるため、夏はラフティングやトレッキング、冬はスキーや露天風呂ツアーを楽しむことができます。富良野市役所の企画振興課は、ワーケーション体験者の感想やモデルプランなどの情報発信サイトを運営し、ワーケーションの誘致活動に力を入れています。

 名作ドラマ「北の国から」の原作者として知られる倉本 聰氏は、富良野市内に「NPO法人 富良野自然塾」を立ち上げ、自然環境と向き合うための体験教育を行っています。主に、植樹や農業体験、裸足で森を散策する五感体験、SDGs問題を課題としたワークショップを開催しています。今までは学校教育の一環としての依頼がほとんどでしたが、コロナ禍以降、企業からのワーケーション依頼が増加しているようです。大手メーカーの「株式会社リコー」は、富良野自然塾と連携したワーケーションを2021年・2022年に続けて開催し、グリーンワーケーションを通した社員教育に力を入れています。

6. 終わりに

 コロナ禍以前の日本人は「働く場所 = オフィス」という固定概念を無意識下に持ち、この固定概念を疑うことすらなかった人々がほとんどではないでしょうか。私自身もその一人であり、コロナ禍以前はワーケーションという言葉すら知りませんでした。
 ワーケーションに対しても「観光先で仕事をして本当にリフレッシュできるのだろうか?」とどこか疑心暗鬼な感情を抱いていましたが、こうして深く掘り下げて学んでみると全くの見当違いであったことが分かりました。ワーケーションでは「仕事」ではなく「自分」に重きを置いた過ごし方をして良い、むしろその方が、仕事や私生活に生かせるトキメキに出会いやすいということが理解できたためです。
 ワーケーションのような実体験を通じて得られる感動は、クリエイティブ性の高いアイディアを生み出す原動力になります。ワーケーションは企業・社員の双方にメリットを生み出すという認識が国内で広がっていけば、数年後・数十年後にはワーケーションが当たり前の社会になっているかもしれません。

 また、弊社では、最短3ヶ月から短期契約できるレンタルオフィス「さっぽろRオフィス」を運営しています。弊社のレンタルオフィスは、札幌駅や大通駅といった主要駅から徒歩圏内かつ、短期間でも借りやすい契約体系であることが特徴です。札幌近辺でワーケーションを行う際にはぜひ、仕事に集中するための空間として「さっぽろRオフィス」をご利用ください。

 

関連記事:短期でオフィスを借りたい場合は、レンタルオフィスがおすすめ!

(参考)

 一般社団法人 みつめる旅 「どこでもオフィスの時代」, 日本経済新聞出版 , 2021年10月発行

 

 

 

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