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オフィスは不要? それとも必要? コロナ禍のもたらした変化と現状

投稿日|2022年2月11日

2020年の新型コロナウイルスの感染拡大以降テレワーク、リモートワークが急速に普及した結果、従来型のオフィスのあり方を見直そうという考え方が広まってきています。その流れの中で、もはや物理的なオフィスは必要無いという「オフィス不要論」も一部で見られるようになりました。この記事では各種調査結果を基にオフィス不要論について考えてみたいと思います。

1.オフィス不要論が生まれた背景とは?

 オフィス不要論の根拠の一つとなっているのは、テレワークのようなオフィス以外の場所での勤務の拡大です。近年のデジタル技術の発展によってWeb会議や大量の電子データの共有が比較的簡単に実現できるようになったこともあり、パソコンが1台あれば自宅にいても多くの仕事をこなせるようになってきました。テレワークには通勤の負担軽減や、介護などの家庭の事情を考慮した柔軟な勤務ができるようになるといったメリットもあるため、多様な働き方を受け入れることで優秀な人材の確保にもつながると考えられています。このようなテレワークのメリットに注目すると、わざわざ企業が費用をかけてオフィスを整備する必要は無いという主張が出てくるのは当然に思えます。しかし、実際にテレワークを導入した企業ではいくつかの課題も見えてきています。

 

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2.テレワークの課題とは?

 厚生労働省がコロナ直後の2020年4月に公開した資料ではテレワーカー、リモートワーカーの課題として「自分の時間管理」や「公私の区別」、「コミュニケーション」、「職場の様子、情報の把握のしにくさ」があるとしています。

テレワーク、リモートワークの課題

 また、総務省が発表した令和3年度情報通信白書ではテレワークに関する調査結果がまとめられており、テレワークの課題として企業の制度整備の遅れの問題に加えてコミュニケーションの問題が挙げられています。どれほどデジタル技術が進んでも対面のコミュニケーションと同じようにはいかないと感じている方は多いのではないでしょうか。実際にテレワークを導入した企業でもテレワーク実施者の割合やテレワークを行う頻度を限定してオフィスで行う業務を一定程度残していることがほとんどのようです。

他にも、パーソル総合研究所の調査によると、テレワーク勤務でのコミュニケーションに関する不安は若い世代ほど強くなる傾向があり、

  • 非対面では相手の気持ちがわかりにくい
  • 上司から公平・公正に評価してもらえるのか
  • 上司や同僚から仕事をさぼっていると思われていないか

といった点に多くの方が不安を感じているようです。人間関係の構築途上にある若い世代では特に対面のコミュニケーションを求める気持ちが強いことは、私たちがビジネスにおいて人と人の関係性を重要視していることの表れと言えるでしょう。

3.これからの時代に求められるオフィスとは?

 テレワークのメリットを活かしながらデメリットを最小化するため、企業には今後どのような方策が求められるのでしょうか? Googleは21億ドルをかけてニューヨークに新たなオフィスを取得する計画を2021年9月に発表しました。Googleの最高財務責任者であるRuth Porat 氏はこの発表にあたって「共同作業や関係性構築のために人々が集う場所(オフィス)は私たちの重要な部分として将来も残っていくだろう」と述べています。多くのデジタルコミュニケーションツールを提供し、テレワーク環境の発展に貢献しているGoogleですが、社員が対面でコミュニケーションを取る場所としてのオフィスに投資を惜しまない方針のようです。

 国内の事例では、オフィス家具に強みを持つコクヨが手掛ける「WELL-LINK」というオフィス空間コーディネート事業が注目されています。コクヨのWebページでは、ラクスル、ダイキンといった企業のオフィスの例が紹介されていますが、多様な働き方の尊重と人と人のつながりが意識されたオフィスデザインは、単なる作業スペースとは一線を画し、これからの時代に求められるオフィスのあり方の一例を示しています。このように企業のビジョンを具体化したオフィスを整備することによって、業務の効率化のみならず優秀な人材を確保する効果も期待されています。

デスク風景

4.まとめ

 新型コロナウイルス感染症拡大防止という政策目的のためテレワークの導入が急速に進んだことで、オフィスの存在価値が見直されつつあります。テレワークを経験することがオフィスでのコミュニケーションの価値や人間関係の重要性を再認識するきっかけとなった例も多いのではないでしょうか。

 テレワークのメリットとオフィスでの勤務のメリットを良い所取りしたハイブリットワークの時代においても、オフィスは作業スペースの提供にとどまらず、人と人が対面でコミュニケーションをとりながら関係性を構築していくための機能の提供という目的のために必要とされ続けるでしょう。

 

(参考)

  1. 厚生労働省「これからのテレワークでの働き方に関する検討会(第1回)」
    https://www.mhlw.go.jp/content/11911500/000677508.pdf
  2. 総務省 「令和3年度情報通信白書」
    https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/r03.html
  3. パーソル総合研究所「第四回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査」
    https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/research/activity/data/telework-survey4.html
  4. FORTUNE 「Google to buy New York City office building for $2.1 billion」
    https://fortune.com/2021/09/21/google-to-buy-new-york-city-office-building-for- 2-1-billion/

 

 

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