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失敗しない起業・開業のための資金戦略

投稿日|2022年5月30日

「こんなお店を開きたい」、「革新的な商品を開発したい」といった強い情熱で起業・開業しても、資金が底をつくと事業は継続できません。安定経営を目指すためのファーストステップとして、起業・開業前に向けた資金管理について解説します。理想的な法人口座の作り方も記載。


【目次】

 1. 起業・開業期のリスク
 2. 起業・開業期の会社経営における「資金」の考え方
 3. 資金管理のポイント
  ① 資金を確保しておく
  ② スマホ決済を導入する
  ③ 売掛金を期日通りに回収する
  ④ ファクタリングサービスを利用する
  ⑤ クレジットカードを利用する
  ⑥ 経費節減を努力する
  ⑦ 日本政策金融金庫や民間金融機関からの資金調達(融資)
  ⑧ 補助金や助成金を活用する
 4. まとめ
 5. おまけ 理想的な法人口座の作り方
 
 
 
 
 

1.起業・開業期のリスク

 調査方法によってデータのばらつきはありますが、中小企業の約3割が起業後1年以内に廃業すると言われ、個人事業主はその割合がさらに高いという調査結果もあります。
 廃業に追い込まれる最大の理由は、資金です。「いくらかかるのか」は当然として、時間経過とともに「いつ、どのようにお金が出入りするか」を意識すること、つまり「お金の流れを見極める力」が重要となります。さらに、単に収支が合えば良いということではなく、すぐに使える「現金」ベースで考えることが必要です。
 この考えが欠如すると、「黒字なのに経営破綻する(黒字倒産)」が起こり得ます。逆に、正しく意識していれば、赤字でもやり繰りして事業を継続できます。

 

2.起業・開業期の会社経営における「資金」の考え方

 起業資金は業務内容や業務形態によって異なりますが、法務手続き費、税金・保険料、家賃、内装・設備費、製造・開発費、仕入れ費、人件費、広告宣伝費、在庫管理費、車両費などが想定されます。起業後の予想外出費は多くの起業家が経験しているので、身の丈にあった支出を意識して、いきなり豪華なオフィスを構えたり、急な投資を避けるなど節約に努めたほうが良いでしょう。
 いくら資金調達や売上が立っても、借入返済日やその他支払期日に間に合わなければ、現金不足で「黒字倒産」となります。起業・開業期の経営の基本は、手元に現金を残すこと。現金があってこそ攻めの投資も可能となるため、「現金」の確保に注力することです。
 また、会社の経営状態を示す財務諸表として、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書の3種類があります。このうち起業・開業期に重視したいのはキャッシュフロー計算書です。しかし、企業内容の開示義務がない非上場企業(中小企業)は、税務署への報告義務がないキャッシュフロー計算書の代りに「資金繰り表」を活用するケースがあります。資金繰り表は銀行融資申請資料として提出を求められるため、日常の資金管理をしながら、スムーズな資金調達の準備ができます。

3.資金管理のポイント

①資金を確保しておく

 資金繰り表で日々のお金の出入りが把握・予測すると、万が一に備えた「確保すべき資金額」を割り出せます。余剰金は投資に回すことができるので、「働かないお金」を抑えます。事業開始後に資金不足のため資金調達に動いても、実際に資金が入金されるまでには、多くの場合数ヶ月程度の時間が必要になります。起業・開業時に必要となる資金に加えて、売上が無くても3ヵ月から半年程度は事業を継続できる運転資金の確保が一つの目安となります。

②スマホ決済を導入する

 クレジットカード決済なら入金が翌々月となるケースが多いが、スマホ決済は最短なら翌営業日になるため、現金を素早く入手できます。

③売掛金を期日通りに回収する

 入金期日を過ぎたら、すぐに督促。ネットバンキングならリアルタイムで入金確認できます。

④ファクタリングサービスを利用する

 売掛金をファクタリング会社に売却し、早期に現金化する。手形に代わる企業間取引の手段として定着しつつあります。

⑤クレジットカードを活用する

 クレジットカードによる支払いは翌月または翌々月となるため、1ヵ月以上後倒しできる。

⑥経費節減を努力する

 設備購入や取引開始の際には、市場調査、相見積もりを徹底する。起業・開業期はオフィス関係の費用がランニングコストの大きな割合を占めるため、レンタルオフィスやコワーキングスペースなどのシェアオフィスの活用によるコスト軽減を検討する。その後、十分な売上を確保してから、事業規模に合わせて一般オフィスへの移転を検討する。

⑦日本政策金融公庫や民間金融機関からの資金調達(融資)

 融資は財務状況が悪化してからでは審査が通りにくく、資金調達が難しくなります。「日本政策金融公庫」は国から出資を受けた融資機関で起業支援を目的としているため、民間の金融機関と比べて自己資金の条件などが緩く、審査に通りやすいという特徴があります。また、日本政策金融公庫では担保・連帯保証人が原則不要となる融資制度もあり、多くの方に門戸が開かれています。日本政策金融公庫では融資事業だけでなく、創業に関する相談などのサポートも提供しています。電話やオンラインでの相談も可能なので、起業をお考えの方はぜひ一度利用してみることをおすすめします。

日本政策金融公庫:https://www.jfc.go.jp/

⑧補助金や助成金を活用する

4.まとめ

 資金の出入りを正確に把握し、常に十分な現金が手元に残るように計画することが重要です。近年では起業・開業時に役立つ専門家のサポートや、低コストで利用しやすいオフィスが充実してきています。事業を始める時にはこれらを積極的な活用することが失敗しない起業・開業につながります。

5.おまけ:理想的な法人口座の作り方

 取引や調達資金の受取りなど、実質的に事業を回すためには銀行口座が必要不可欠です。特に「法人口座」を用意すると、事業に関わる「お金」の流れが把握しやすくなります。また、法人口座は用途に応じて複数作ることが理想的で、準備時間が取りやすい設立段階に口座開設することをお薦めします。

用途は下記の3つがあります。
【入金用】
【支出用】
【納税資金等の貯蓄用】

 金融機関は、メガバンク・都市銀行、地方銀行、信用金庫・信用組合、ネット専業銀行があります。各金融機関によって、力を入れているサービスや得意分野がそれぞれ異なるので、「メリット」を活かしたいところです。

 各金融機関のメリットを下記に示します。
【メガバンク・都市銀行】 対外的な信用度アップ
【地方銀行・信用金庫・信用組合】 融資や経営支援や融資の積極的活用
【ネット専業銀行】 24時間365日稼働で業務効率化、安い振込手数料で経費削減

 これらの「用途」と「金融機関のメリット」から、理想的な法人口座の持ち方を提案します。
・入金用は、信頼度をアピールできる「メガバンク・都市銀行」
・支出用は、手数料が抑えられて使い勝手の良い「ネット専業銀行」
・納税資金等の貯蓄用は、融資につながる「地方銀行・信用金庫・信用組合」

 なお、法人の場合、必ずしも口座開設できるわけではありません。諸条件によって、金融機関から口座開設を断られる場合があります。最後に断られる主な「3つの理由」を紹介します。
・事業内容や事業目的が不明確
・資本金が少なすぎる
・登記上の住所以外で事業を行っている

 

 

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