はじめに
昨今は、小規模なオフィスを手軽に借りられるレンタルオフィスやシェアオフィス、バーチャルオフィスなどの需要が拡大しています。なかでもレンタルオフィスは、個人やフリーランスだけに限らず、法人の方も多く利用しています。法人で利用するメリットも多いため注目されているレンタルオフィスですが、その中で必ず挙がる疑問の一つに、「銀行の法人口座が開設できるか」という点があります。
この記事では、レンタルオフィスで法人口座を開設できるかどうか、その概要を詳しくご説明します。法人口座開設がビジネスの信用と運営にどう影響するか、また、法人口座開設に関するポイントまで詳しく解説します。
レンタルオフィスを利用してビジネスを拡大しようと考えている起業家や法人の方は、この記事を最後まで読み参考にしてください。また、バーチャルオフィスでも法人口座を開設できるかについても解説していますので、レンタルオフィスだけでなくバーチャルオフィスの利用を検討している企業もぜひ参考にしてください。
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レンタルオフィスで銀行の法人口座を開設可能?
レンタルオフィスでも法人口座を開設できるかどうかは、多くの起業家や法人にとって重要なポイントです。結論を言いますと、レンタルオフィスを登記住所として利用して法人口座を開設することは可能です。
実際にレンタルオフィスを利用している多くの法人や起業家の方が、都市銀行や地方銀行、信用金庫などで法人口座を開設しています。銀行にとってレンタルオフィスが実際のオフィス空間として機能し、法的なビジネス活動の拠点と認められている証ですね。
ただし、金融犯罪防止のため、近年の銀行口座の審査はかなり厳格化しており、全ての申請が自動的に承認されるわけではありません。成功のカギは、必要書類を事前に調べ確実に用意し、銀行からみて明確な事業計画を持って申請に臨むことです。
結論として、レンタルオフィスの住所でも法人口座を開設することができますが、各金融機関の審査基準を満たすよう事前の準備はしっかりと行う必要があります。
法人口座を開設するメリット
レンタルオフィスで法人口座が開設できることは前章でご理解いただけたでしょう。しかし、そもそも普通の口座ではなく法人口座を開設することにどのようなメリットがあるのでしょうか。
・社会的信用の向上
・個人財産との区別
・法人名義のクレジットカード
・借入金額の上限
・各手数料の削減
この5つの点に着目し、詳しく解説します。
▶社会的信用の向上
法人口座を持つことは、企業の社会的信用の向上につながります。個人口座ではなく法人口座を利用することで、ビジネスが法人としてしっかりと機能していることが外部に示され、信用を得やすくなります。
取引先や金融機関からの評価も高まるため、ビジネスのチャンスを広げる可能性も高まります。とくに大きな取引や資金調達の際には、法人口座は信頼性の高い証明となります。
▶個人財産と区別して管理ができる
法人口座を開設することで、個人財産と企業資産を明確に区別し管理することが可能になります。これにより、あいまいになりがちな経理処理の明確化が図られ、税務申告の際の混乱を避けることができます。
個人と法人の財務を切り分けることは、税務関係のリスク管理などのためにも重要であり、会社資金の透明性を高めるため、取引先に信用してもらうことにもつながります。
▶法人名義のクレジットカードが利用できる
法人口座を開設することにより、法人名義のクレジットカードを取得できるようになります。これにより、企業の経費管理の面も容易になり、個人資産と会社の経費を明確に区分することができます。
また、取得していることでの信用力向上や、法人カードならではのサービスを利用することもできるため、ビジネス運営の効率化と会社に対する信用の強化に繋がります。
▶借入金額が個人口座よりも高くなる場合がある
法人口座を持つ企業は、個人口座保有者よりも多額の融資を受けられる傾向にあります。金融機関は法人の財務状況、信用度、事業計画の実現可能性を評価して融資を決定します。法人口座を使うことで、事業の規模や安定性が示され、金融機関に大きな信頼を与える可能性が高まります。
とくに、事業拡大や大規模プロジェクトのための資金調達をする際、法人口座は重要な役割を果たします。
▶振込や利用手数料の削減
法人口座を開設することで、振込や利用手数料の削減につながる大きなメリットがあります。同じ銀行で法人口座を持っている取引先など、条件を満たす場合に振込を行う時の手数料を低く設定している銀行も多くあります。
また一部の金融機関では、取引頻度に応じて手数料が割引される優遇制度が用意されていることもあります。これにより取引コストを削減することができるため、企業の経費節約につながります。
法人口座を開設する金融機関はどこが良い?
法人口座を開設する場合、まず先に悩むのが「どの金融機関で開設するのが正解なのか」でしょう。 様々な金融機関が存在しますが、大きな括りにすると、以下の3点になります。
・メガバンク
・地方銀行や信用金庫
・ネット銀行
それぞれどのような特徴があるのか詳しく解説しますので、法人口座開設の際の参考にしてください。
▶メガバンク(都市銀行)
メガバンクは、そのブランドの信頼性と安定性で多くの法人に選ばれています。メガバンクには、三菱UFJ銀行やみずほ銀行、三井住友銀行などが含まれ、広範なネットワークと充実したサービスを企業に提供します。
大手企業との取引や大規模な資金運用を計画している法人にとっては、メガバンクで法人口座を開設していることで、相手からの信頼を得られるポイントになるでしょう。しかし、その分審査は厳しく、しっかりとした事業計画と健全な財務状態を銀行に証明する必要があります。
▶地方銀行、信用金庫
地方銀行や信用金庫は、地域密着型で企業ごとに求められる様々なニーズにも柔軟に答えてくれるサービスが特徴です。地元企業や中小企業に対するサポートが強く、融資条件が比較的柔軟であることが多いです。
また、地方銀行は地方創生に力を入れている場合も多く、地域経済に貢献する事業や地元でのネットワーク構築を重視する法人に適しています。ただし、地方銀行や信用金庫はそのサービス範囲が限定されている場合があるため、全国規模でのビジネス展開を考えている場合は少々不便を感じる可能性があります。
▶ネット銀行
ネット銀行は、オンラインで完結する手続きの便利さと、低コストなことが魅力です。オンラインでの手続きにより、時間と場所を選ばずにサービスを利用でき、とくに小規模企業やスタートアップにとってはコスト削減とタイムパフォーマンスに大きく貢献します。
また、伝統的な銀行と比較して手数料が安いことも特徴です。しかし、直接の窓口サービスがないため、対面での相談や急ぎの対応が必要な場合には不便を感じることがあります。
レンタルオフィスで法人口座を開設するポイント
レンタルオフィスで法人口座を開設する場合、確実に審査に通るため以下のポイントを押さえておきましょう。
・事業内容や目的の明確化
・資本金の設定
・ホームページの用意
・事業概要の用意
・アクセスのよい銀行選び
上記ポイント5点は法人口座を開設する際に審査に通る可能性を上げ、その後の利用も便利にしてくれます。ひとつずつ詳しくご説明します。
▶① 事業内容や目的を明確にする
法人口座を開設するにあたり、事業内容と目的の明確化は極めて重要です。金融機関は、審査過程で企業の事業計画と実行できる可能性を評価します。曖昧、または広範な事業内容ではなく、具体的で理解しやすい事業計画を提示することが必要です。
明確な事業内容と目的は、銀行に対する信頼性を高め、事業の持続可能性の高さを評価される要因となります。 また、なるべく専門用語を避け、金融機関の担当者にも理解しやすい言葉を用いて事業計画を説明することで、審査の成功率を向上させることができます。
▶② 資本金の設定を慎重に行う
資本金の設定は法人口座開設において、会社の経済的信頼性を示す重要なポイントです。 資本金が適切でないと、金融機関は事業が持続できる可能性や財務安定性に疑問を持つことがあります。低すぎる資本金は、会社の運営力不足と見なされ、審査の障壁となり得るでしょう。
理想としては、資本金は事業規模や計画を考慮して設定し、業種の市場調査の上、要件に適合する額を目指すべきです。適切な資本金は、金融機関に対し事業の真剣性と財務の健全性を示し、口座開設を成功させる可能性を高めます。
▶③ ホームページを用意しておく
法人口座開設時にホームページがあることで、企業の信頼性を高めるポイントになります。ホームページでは、事業内容やビジョン、問い合わせ先などを公開して企業の透明性を示すと、金融機関や顧客に対する信頼を築くことができます。審査過程で、金融機関はホームページを通じて企業の実態や事業計画の確かさを確認し、評価します。
ホームページがなかったり明らかに経験不足なクリエイターが制作しているようなホームページの場合、事業の信頼性が疑問視され、口座開設の障壁となる可能性もあります。事業が明確で、ターゲット顧客に伝わりやすい、内容の充実しているホームページであることが、法人口座開設の成功ポイントとなります。
▶④ 事業概要を示す書類を用意しておく
法人口座開設の際、事業概要を示す書類の用意は審査に不可欠です。たとえば契約書や発注書、請求書など、事業を運営していく上での書類が整っていることは、金融機関が企業の信頼性と実績を評価する際に重要なポイントとなります。
また、これらの書類は会社の現在の経営状況や事業活動の明確さを示すため、審査の上で事業が安定していることへの説得力も高めます。事業の安定性をしっかりと示すためにも、必要な書類を適切に準備することが重要です。
▶⑤ レンタルオフィスから通いやすい銀行を選ぶ
レンタルオフィスから通いやすい銀行を選ぶことは、法人口座を開設した後に重要となってくるポイントです。近くに口座を開設した銀行があることで、定期的な訪問のしやすさや手続きの便利さは、日常業務の効率化につながります。最寄りの銀行を選ぶことで緊急時の対応が迅速になり、ビジネス運営をする上での障害も少なくなります。
事業を運営していく上で、金融機関と容易に連携が取れる物理的な距離は、ついつい見落としがちではありますが重要なポイントなのです。
レンタルオフィスで法人口座を開設する場合の必要書類
レンタルオフィスで法人口座を開設する場合、必要な書類がいくつかあります。以下に、一般的に必要とされる書類のリストとその概要を説明します。
【会社の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)】
会社の法的状態や構成を証明するために必要。発行後3か月以内の原本が求められることが多いです。
【会社の定款】
会社の基本的なルールや方針が記載されており、金融機関によっては提出を求められます。
【会社の銀行印】
取引に利用する印鑑で、印鑑登録証明書と合わせて提出する場合があります。
【代表者の印鑑証明書】
法人としての取引の信用性を証明するため、代表者の印鑑証明も必要になります。発行後3か月以内のものが要求されることが一般的です。
【代表者の身分証明書】
代表者の身元を証明するために、運転免許証やパスポートなどの公的な写真付き身分証明書が必要です。
【会社の事業内容がわかる資料】
会社案内、サービスや商品のカタログ、ウェブサイトのプリントアウトなど、事業内容を示す資料が必要です。事業実態を示す契約書や取引書類も有効です。
【レンタルオフィスの契約書】
レンタルオフィスを利用している場合、その契約書を提出することで、事業の実態があることを示せます。
これらの必要書類は銀行によって異なる場合があるため、事前に各金融機関の具体的な要件を確認することが重要です。
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レンタルオフィスで法人口座を開設する場合の注意点
これまでレンタルオフィスで法人口座を開設する概要やポイントなどをみてきました。ここで、法人口座を開設する際の注意点もみていきましょう。主な注意点は以下の3点になります。
・清潔な身だしなみ
・固定電話の用意
・質疑に応えられる準備
それぞれの内容について、下記で簡潔に解説します。
▶① 清潔な身だしなみで銀行を訪問する
法人口座を開設する際、銀行訪問は会社のイメージを決定する重要な機会です。企業の代表として訪問するので、清潔感のある身だしなみをすることは、企業に対しての信頼性にも関係します。
例としては、ビジネスカジュアルな服装で髪型や小物も整えて、誰がみても清潔感がある印象を与える身だしなみであることが望ましいです。銀行側も機械での判断ばかりではなく、人が関わります。そのため、見た目も企業としての真剣さや誠実さを判断する材料になりえます。
▶② 法人用の固定電話を用意しておく
電話や連絡はスマホが主流となっているのですが、法人用の固定電話を準備することも忘れないようにしましょう。固定電話は、企業の信頼性を高めるための重要な要素です。
固定電話番号は、会社が実際に存在し、確立された運営基盤を持っていることを示すひとつの指標ともなります。 レンタルオフィスを利用していても固定電話を設置していることで、企業としてしっかりしていることを銀行にアピールできます。このため、法人口座開設の際には固定電話番号を用意することが推奨されます。
レンタルオフィスなどを借りずに在宅で仕事をしている方の場合は、固定電話を借りられるバーチャルオフィスの契約がおすすめです。バーチャルオフィスでは、住所や固定電話を安価に借りられるため、手間やコストを抑えながらも社会的信用を得るために必要な固定電話を用意できます。
▶③ 質疑に答えられる準備をしておく
銀行との面談では質疑応答があります。それらに応えられるように備え、銀行を訪問することを忘れないよう注意してください。
たとえば、事業計画や財務状況、将来の目標などについて質問されることがあります。それらを明確かつ簡潔に説明できるように準備しておく必要があります。企業の健全性や事業の持続性をしっかりと伝えるためにも、具体的な数値や計画を示せるようにしておくことが望ましいです。
適切に準備を行うことで、金融機関に良い印象を与え、口座開設をスムーズに進めることができます。
バーチャルオフィスでも法人口座は開設できる?
結論として、バーチャルオフィスを利用していても法人口座は開設可能です。昨今、バーチャルオフィスの普及とリモートワークの一般化に伴い、多くの銀行がバーチャルオフィスの住所での口座開設を受け入れています。
ただし、銀行は犯罪による収益の移転防止などの法的要件を遵守するために、口座開設の審査を厳格に行っています。バーチャルオフィスを利用する事業の性質、目的、計画を明確に説明できることが重要で、事業の正当性と実体を証明することが銀行口座開設のポイントとなります。
まとめ
レンタルオフィスやバーチャルオフィスでも法人口座を開設できることを理解いただけたでしょうか。今やレンタルオフィスやバーチャルオフィスは、賃貸オフィスと変わらず法人として公に認められるオフィス形態となりました。この記事を参考に法人口座を開設し、企業の事業内容によって柔軟な展開ができるレンタルオフィスをうまく活用して、事業をより発展させていきましょう。
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