はじめに
オフィスを開業する際には、書類やHPへの記載、郵便物の受け取りのために住所が必要となります。近頃は自宅で事業を営む方も増え、自宅住所で登録することに抵抗感を覚える方も多くいるのではないでしょうか。一般的な賃貸オフィスだと初期費用や月額賃貸料などのハードルが大きく、開業したばかりの方がオフィスを借りるには難しい場合が多いでしょう。このようなオフィスコストを抑えつつ、住所としても手軽に登録できるのが「バーチャルオフィス」です。
この記事では、バーチャルオフィスとはどのようなものか、メリットやデメリット、レンタルオフィスとの違いも含め解説していきます。バーチャルオフィスについて詳しく知りたい方、レンタル住所を探している方、バーチャルオフィスとレンタルオフィスの違いが分からない方はぜひ参考にしてください。
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バーチャルオフィスとは?
バーチャルオフィスは、事業用の住所や電話番号を貸し出す仮想事務所のことをいいます。物理的な実体はなく、仕事をするためのスペースはありません。住所や電話番号のみの貸し出しを行い、個人や法人登記、銀行口座の開設、郵便物の受け取りなどに利用できる住所を借りることができます。
プライバシーの観点から自宅住所を公開したくない、開業したばかりでオフィスを借りるための資金がない、副業として住所が必要であるといった人々にとって、バーチャルオフィスは役立ちます。
ここでは、バーチャルオフィスの概要や違法性、バーチャルオフィスとレンタルオフィスの違いについて簡単に解説します。
▶バーチャルオフィスの概要
バーチャルオフィスは、法人登記、銀行口座の開設、名刺やホームページへの住所記載、許認可や事業の届け出、オンラインショップ運営の連絡先といった幅広い用途で利用されています。
バーチャルオフィスの契約では、基本サービスのほか、必要に応じて有料のオプションを選択できます。基本サービスのなかには、住所の貸し出しだけでなく、郵便物の受け取りや転送、電話番号の提供などが含まれています。有料のオプションには、会議室の利用、法人登記、事業相談といったサービスがあります。
バーチャルオフィスは、個人事業主やスタートアップ企業を中心に、コストを削減しつつ事業を行いたい企業に導入されています。バーチャルオフィスは一等地の住所であることが多いため、起業開業したばかりでもビジネスの信用度が高い住所を得られるメリットがあります。
自宅以外の場所にオフィスが欲しいけれど資金が足りない方、ビジネス用の住所や電話番号だけが欲しい方、ネットショップ運営で自宅以外の住所を掲載したい方などにバーチャルオフィスは重宝されています。
▶バーチャルオフィスは違法?
結論からお伝えすると、バーチャルオフィスは、法律上問題がないオフィスサービスです。商業登記法では、会社を設立するときに本店所在地の制限を設けていません。法人登記上で見れば、自宅でも賃貸事務所でも、あるいはバーチャルオフィスやレンタルオフィスでも登記の手続きができます。
昨今はネット普及により、ネットショップ運営を副業として始める方も増えています。ネットショップを運営する場合、特定商取引法において住所の公開が必須条件になりますが、自宅ではなくバーチャルオフィスの住所を利用することも認められているのです。
しかし、バーチャルオフィスは手軽に住所や電話番号だけを借りられることから、犯罪に利用されることも少なくありません。もしかすると、自社が借りたいと考えているバーチャルオフィスが過去に犯罪に利用されたことがある住所や電話番号だったということもあり得ます。そうすると、せっかく借りた住所や電話番号が、逆にビジネスの信用度を落としてしまうことになってしまいます。
口コミや評判の良くないバーチャルオフィスは避けたり、あまりにも利用料金が安すぎるバーチャルオフィスは避けたりといった対策はしておくべきでしょう。また、住所や電話番号で検索をして、ネット上に悪い評判や犯罪履歴が出てこないかを調査しておくと安心です。
▶バーチャルオフィスとレンタルオフィスの違い
バーチャルオフィスとレンタルオフィスの違いは、専有できる物理的なオフィススペースの有無です。オフィスを利用できる点では同じなのですが、バーチャルオフィスの場合、住所や電話番号のみを借りるサービスであるため、仕事専用のオフィススペースはありません。バーチャルオフィスはあくまでも、オフィスの住所と電話番号をビジネス利用するためのサービスです。
その点レンタルオフィスは、住所や電話番号はもちろん、自社オフィスとして専用の個室オフィスを借りることができます。会議室や応接室、ミーティングスペースなどもあり、一般的な賃貸オフィスと同じようにオフィスで仕事をすることができます。このため、コスト的な面で見ても、物理的なオフィスを有するレンタルオフィスのほうがバーチャルオフィスより費用は上がります。
ただ、レンタルオフィスは複数の企業で共用部をシェアして利用するため、一般的な賃貸オフィスよりも初期費用や利用料が安いため、ランニングコストを抑えながら自社オフィスを持つことができるメリットがあります。
バーチャルオフィスの住所だけを無料で借りられる?
結論からお伝えすると、住所だけを無料で借りられるバーチャルオフィスはありません。物理的なオフィスはないものの、サービスを提供するために一定以上のコストは必ずかかります。バーチャルオフィスの多くは都心部などの一等地にありますが、安い場合だと月々1,000円以下で借りられるバーチャルオフィスもなかにはあります。
郵便物の受け取りや転送、電話受付などの運用費もかかるため、維持コストも当然かかってきます。バーチャルオフィスのなかには、キャンペーンで利用料を初月無料にしているところもありますが、あくまでも一時的なものです。無料で借りられるバーチャルオフィスはありませんので、無料であることを掲げた広告などには注意してバーチャルオフィスを選びましょう。
バーチャルオフィスのレンタル住所が向いてる職業
バーチャルオフィスはコスパにも優れ便利なサービスですが、職業によって向き不向きがあります。ここでは、バーチャルオフィスが向いている業種を紹介します。
▶① 自宅で通販などの事業を営んでいる方
バーチャルオフィスは自宅で通販を営む「無店舗小売業」に向いています。主にインターネット通販やネットショップが対象です。特定商取引法により、ネットショップは住所や電話番号を公開しなくてはいけないと義務付けられています。
しかし、賃貸住宅などの不動産契約によっては、ネットショップなどの事業者登録に住所利用することを認めていないケースがあります。また、プライバシーの観点から自宅住所をネット上に掲載すると不特定多数の人々に見られて不安という方も多くいらっしゃいます。
このような場合にバーチャルオフィスを利用することで、自宅住所を公開することなくビジネスを運営できるメリットがあります。また、お客様側にも、ビジネス地区にある一等地の住所を公開することで、安心感を持って購入してもらえます。
▶② フリーランスや副業をしている方
フリーランスや副業をしている方は、仕事をするためのスペースを確保できるかどうかが重要になってきます。なかには、カフェやコワーキングスペースのドロップインで仕事をするなど工夫をしている方もいるでしょう。
オフィスとして登録する住所も自宅にしてしまうと、郵便物などもすべて自宅へ届いてしまいプライベートとの区別がつきにくくなるため、バーチャルオフィスを利用して住所登録する方法がおすすめです。バーチャルオフィスは月々数千円ほどから借りられるため、コストをかけずにオフィス代わりとしての住所が手軽に利用できます。
▶③ 起業したばかりでオフィス予算が少ない方
起業したばかりで、オフィスに予算をかけられない方にもバーチャルオフィスは向いています。銀行口座の開設や郵便物の受け取りなど住所が必要になるものの、一般的な賃貸オフィスのように高額な初期費用や固定費をかけられない方もいるでしょう。また、仕事をするためのスペースには困っておらず、住所や電話番号だけを利用したい方にもバーチャルオフィスは最適です。
オプションとして会議室利用ができるバーチャルオフィスや、郵便物をデジタル化してメールなどで送信してくれるバーチャルオフィスもあります。自社の求めているニーズは何なのか、ニーズに応えてくれるバーチャルオフィスはあるのか、複数のオフィスを比較して検討することをおすすめします。
レンタル住所の種類
レンタル住所もしくは住所貸しのサービスとして、私書箱とバーチャルオフィスの2種類が挙げられます。ここでは、私書箱とバーチャルオフィスの違いについて詳しく見ていきましょう。
▶私書箱
私書箱は、郵便局にて住所のレンタルをすることをいいます。個人や法人を問わず郵便局内で自分専用の郵便ポストを持てるサービスになり、自宅の住所を教える必要がなくなります。受け取り範囲は郵便物に限定されますので、限られたサービスのみを利用したい方向きです。
ただし注意点として、転送サービスがないため郵便物を自分で受け取りに行く必要が出てきます。また、私書箱は登記住所としては使用できず、法人設立を考えている方には向きません。特定商取引法での住所の扱いにもならないため、用途に合わせた使い方を考えるようにしてください。
▶バーチャルオフィス
バーチャルオフィスは、事業用の住所をレンタルできるサービスです。郵便物の受け取りや転送、電話番号などオフィスに必要な一部の機能を担っています。法人登記などの幅広い用途で活用できますし、有人オフィスの場合は来客対応や荷物受取も依頼できます。
バーチャルオフィスは、物理的なオフィススペースの利用はできないものの、備え付けの会議室や待合ロビーを利用することは可能である場合があります。低コストで住所や電話番号を利用できることから、作業スペースを必要としない業種にとっては便利でコストパフォーマンスの良いオフィスサービスといえるでしょう。
バーチャルオフィスで住所をレンタルするメリット
レンタル住所のなかでも事業用として利用できる使い勝手の良さが、バーチャルオフィスの魅力です。バーチャルオフィスの利用を検討している方向けに、メリットをいくつかご紹介します。
▶① 安くオフィス住所を取得できる
バーチャルオフィスは、安く住所を取得できるメリットが期待できます。一般的な賃貸オフィスを借りる場合、敷金や礼金、保証金などをトータルすると数十万円以上の初期費用が必要です。他にも、毎月の利用料金や光熱費、ネット回線などの固定費もかかってきます。
バーチャルオフィスは、初期費用として入会金がかかりますが、数千円程度と安い場合がほとんどです。毎月の利用料の他にかかる費用とすれば、郵送費や会議室を利用した場合の費用のみです。安くオフィスの住所を取得できるからこそ、コストを抑えてビジネス運営を行いたいと考えている方にとって大きなメリットといえるでしょう。
▶② 一等地の住所で信頼を得られる
バーチャルオフィスの多くは、都心部の一等地に住所を構えています。そのため、事業や会社としてのイメージの向上にも繋がります。電話番号一つでも印象が変わってしまうため、販売している商品やサービスによっては一等地に住所を構えていることもアピールポイントとなります。
低コストで利用できる上に知名度の高い住所が手に入るのも、バーチャルオフィスの良さです。実際に一等地に会社を構えようとすれば、数十万~数百万といったまとまったお金が必要になります。バーチャルオフィスは、気軽に信頼のある一等地住所を借りられる点も大きなメリットといえるでしょう。
▶③ 郵便物を転送してもらえて便利
バーチャルオフィスは、住所をレンタルできることはもちろんですが郵便物を自宅に転送するサービスも利用できます。私書箱のように自分で取りに行く手間もかからないので、忙しい人にとっても嬉しいサービスといえるでしょう。ただし、すべてのバーチャルオフィスで対応しているとは限らず、自分で受け取りに行く場合もあります。この場合は、近くに立ち寄ったときや毎月1回など定期的に郵便物を受け取るような流れになります。
また、昨今では、郵便物をデジタル化して送信してくれるバーチャルオフィスも存在します。デジタルであれば、オフィスまで取りに行ったり転送を依頼しなくても、いつでもネット上で手軽に郵便物を閲覧できます。書類のやり取りが多い業種の方などは、こうしたデジタルサービスを行っているバーチャルオフィスを選ぶとさらに便利でしょう。
▶④ 住所貸し以外のサービスもある
住所を貸してくれるバーチャルオフィスのサービス以外にも、電話番号のみを借りられるサービスや有人受付があり来客にも対応してくれるオフィスもあります。
例えば、電話番号としてスマホの番号を記載する人もいるのですが、お客様にとってはやや信用性に欠けると判断されてしまうこともあります。このような場合にはバーチャルオフィスの固定電話番号を利用すると良いでしょう。電話を転送してもらえるサービスもありますし、スタッフが一時的な電話対応をしてくれるサービスもあります。
本業が別にあり電話対応が難しい人にとっても、このようなサービスがあれば安心して電話対応を任せられるでしょう。プロによる電話対応をしてもらえるため、顧客からのイメージアップや信用度の確保にも繋がります。
バーチャルオフィスで住所をレンタルするデメリット
バーチャルオフィスにはたくさんのメリットがあることがお分かりいただけましたでしょうか。次に、バーチャルオフィスにはどのようなデメリットがあるのか、詳しく見ていきましょう。
▶① 働くためのオフィスがあるわけではない
バーチャルオフィスは住所を借りるサービスであるため、実際に働くためのオフィスがあるわけではありません。そのため、自宅やカフェなどで仕事をすることになります。しかし、なかには、自宅だと仕事に集中できなくなってしまったり、プライベートとのオンオフが上手くできずに困ることもあるかもしれません。今まで外で働いていた人の場合、自宅ではだらけてしまう…なんて方もいるでしょう。
バーチャルオフィスの場合、仕事をするためのスペースをどうするのか?ということも考えておくことが大切です。自宅で仕事をする場合、一室をオフィス用に改造するなど、環境づくりを進めておくことをおすすめします。
▶② 信用面が劣る可能性がある
バーチャルオフィスは、一般的なオフィスと比較すると信用面で劣る可能性が考えられます。他社と同じ住所を共有して使用することになるため、取引先によっては不信感を与えてしまう可能性が挙げられます。
バーチャルオフィスは、スペースを借すわけではないことから、事実上無限に利用者を増やせてしまいます。人気のあるバーチャルオフィスだと、多数の会社が住所を共有しているケースもあり、信用面でビジネスに悪い影響を及ぼしてしまう可能性が出てきます。
▶③ 銀行融資が通らない場合がある
銀行は信用がないとお金を貸してくれません。一般的なオフィスと比べるとバーチャルオフィスは信用度が低くなってしまい、銀行などの金融機関から融資が受けられない可能性があります。そもそも、創業したてで実績の少ない事業が融資を受けることが難しいこともあり、銀行融資をするためにバーチャルオフィスを借りる場合は慎重に考えてから契約を進めなければいけません。
銀行融資を考えている方は、日本政策金融公庫などの創業融資も選択肢にいれて、バーチャルオフィスの運営会社や専門機関に相談してみると良いでしょう。
▶④ 許認可が取れない業種がある
業種によっては、バーチャルオフィスの住所が利用できないケースがあります。ネットショップや社団法人、組合などはバーチャルオフィスでも法人登記ができ、違法性もありません。ただし、弁護士や司法書士などの士業や、人材派遣、不動産など行政に対して許可や届出が必要な業種の場合、バーチャルオフィスの住所は利用できません。
このような業種は、書類の保管方法や面談スペースなどに関して一般的なオフィスと同等の設備が求められます。こうした条件は業種による違いがあるため、自身の業種が許認可の対象か、バーチャルオフィスでも許認可は取れるのかについて事前に確認しておきましょう。
バーチャルオフィスで許認可が難しい場合は、レンタルオフィスの利用を検討してみると良いでしょう。
バーチャルオフィスでのトラブルを回避するには?
バーチャルオフィスにおけるトラブルを回避するためにはどうしたら良いのか、覚えておきたい2つのポイントについて説明します。
▶口コミや評判を確認して信頼性の高いバーチャルオフィスを選ぶ
バーチャルオフィスの信頼性を確認するためにも、口コミや評判を確認して安心して利用できるオフィスかどうかを確認するようにしてください。実際に利用した人の口コミは、ホームページだけではわからない、生の声でもあります。
また、運営会社はどうなのか、問い合わせたときの対応に問題はないか、総合的に判断することをおすすめします。特に電話応対などを任せるときは、実績も含め確認しておきましょう。
▶入居前の審査をしっかりとしているバーチャルオフィスを選ぶ
サービス利用契約の前に、まずは本人確認や入居前の審査をしっかりと行っているかどうかも確認しておきましょう。eKYCなどの本人確認を導入して確認しているかどうか、事業計画書の提出を求めているかどうかなど、悪徳利用業者を回避するための対策に力をいれているかどうかが重要なポイントです。
また、契約書にもしっかりと目を通しておき、何かあったときに不利になるような内容がないかどうか調べておくことも大切です。
働くためのオフィスも必要な場合はレンタルオフィスがおすすめ!
バーチャルオフィスは住所や電話番号を気軽に利用できる良さがありますが、働くためのオフィススペースが必要な場合もあるでしょう。そのような場合は、レンタルオフィスの利用もぜひ検討してみてください。
レンタルオフィスは、初期コストやランニングコストが一般的な賃貸オフィスより大幅に低く、ビジネス家具や家電が揃っているため契約後はすぐに利用を開始できます。内装工事も必要なく、会議室や応接室、ミーティングスペースといった便利なビジネス設備も揃っています。信用面や銀行融資を考えている方にとっても、レンタルオフィスのほうが信用性が高く審査が通りやすいためおすすめです。
【PR】さっぽろRオフィスでは、毎月の利用料と管理費のみでビジネスに最適なオフィスを手軽に借りられます。
まとめ
バーチャルオフィスは住所や電話番号のみを借りたい場合に便利なオフィスサービスです。スタートアップ企業や副業、自宅の住所をHPに載せたくない方にとって、バーチャルオフィスはコストを抑えながら気軽に利用しやすいオフィスであるといえるでしょう。起業や開業をしたばかりのビジネスでも、バーチャルオフィスであれば一等地の住所を利用できます。
ただし、バーチャルオフィスは仕事をするためのオフィススペースの問題や、利用できる業種の制限問題があります。そのような場合には、レンタルオフィスの利用も含め、自分たちの会社にあったオフィス形態を選ぶようにしましょう。
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